月刊専門料理 「プロの自家製」を分析してみた
- 川崎寛也
- 2月8日
- 読了時間: 2分
一流シェフの考え方を理解することで、一流シェフのように料理を考え、作れるようになるのではないか。
料理人は自分の料理をどのような考えで作ったかを語ることは少ない。そこで,作ったものから,料理人の考えを推察するということをしているが,それもまた楽しいものである.
月刊専門料理の2025年2月号の特集は「プロの自家製」であった.
ノマのレネも含め,和洋中の様々な料理人が自家製の調味料などを紹介していた.そこで,彼らがどのような食材をどのような加工をしていたかを網羅的に分析してみた。
分析には以前も紹介した「マトリクス法」を用いた。つまり,食材✖︎加工,という構造として捉えて,同じ食材でも加工方法が違うものがあるか,同じ加工でも食材違いがあるか,を見える化してみた.
それがこちらのマトリクスである。

加工法については,使われている方法は,「濃縮」「抽出」「発酵」「発酵した食品との接触」「反応」「浸漬」に整理できた。
「濃縮」とは,乾燥などによって食材の成分を濃縮することである.
「抽出」とは,オイルや酒などに成分を抽出することである.
「発酵」とは,乳酸菌や麹菌によって発酵させ,タンパク質を分解したりしてうま味成分などを増やすことである.
「発酵した食品との接触」は,日本料理に多くみられるが,醤油や味噌など発酵食品と食材を接触させ,発酵食品のうま味成分や塩分,風味成分を食材に移すことである.
「反応」は,今回は長期間かけてメイラード反応を起こすことであった.
「浸漬」は,発酵食品も多いが,酢などに漬け込むピクルスなどであった.
興味深いことに,魚肉や肉類は,塩や乾燥で成分を濃縮したものや発酵させたものが多かった.やはりたんぱく質や遊離アミノ酸が多いので,濃縮したり,発酵によりたんぱく質を分解してグルタミン酸を増加させたいのであろう.
きのこや野菜,スパイスはオイルに抽出したものが多かった。たんぱく質が多いわけではないから,発酵させてもうま味成分が増えないからであろう.
このように,シェフ達は、食材の成分の特性を見極めて,加工方法を選択しているのがよくわかった.
また,このマトリクスの空欄は,この特集には無かったものであるが,上記のような特性をもとに,空欄の「自家製」にチャレンジすると独自のものができる可能性が高い.もちろん食材は網羅されていないので,食材選びから考えると良い.
少し大変でしたが,楽しい分析になりました.
柴田書店さん,いつも素晴らしい記事をありがとうございます.
Comments