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執筆者の写真川崎寛也

5. 主素材と副素材の相性がよいこと

料理人の考えていること」の5つめは「主素材と副素材の相性がよいこと」である。


相性が良い、悪い、というのは科学的に考えることができるだろうか。科学的思 考の最初は分類からである。まずは現象を分類してみよう。


相性がよい、というのは、異なる2つのものを同時に体験したときに、個別に体験するよりも高い評価が得られる状態である。相性は下記のように分類できる。


<NEW ニュー> 味覚は、例えば甘味受容体と塩味受容体は全く別なため、甘味と塩味をいっしょに味わっても単に甘味と塩味がするだけでA+BはABと感じられる。ところが、香りはA+BはCになってしまう。我々の嗅覚の受容体は400種類あり、認知できる香りは1万種類ある。匂いはパターン認識であるため、脳はパターンが違っていると匂いが変わったと認知する。それがA+BはCである。2つ合わさると新しい香りであると知覚する。その新しい香りが良い香りであれば、相性が良いと判断される可能性がある。


<SHAREシェア> 2つの食材が同じ香り成分を持ったり、感覚的に同じ香りがするから相性が良いと言われることも多い。Food pairingとも言われる概念である。特にフランス料理において用いられることが多い考え方で、主食材とソースや主食材とガルニチュール(付け合せ)、さらには主素材とワインとの相性においてもよく用いられる。


<DOMINANTドミナント> 主食材と副素材、どちらかの強度が強すぎて感じる時間が長すぎたりすると印象がどちらかに偏ってしまうが、ちょうど同じくらいの場合に相性が良いと判断される。この状態を<BALANCE バランス>とする。逆にどちらかが強いと相性が悪いと言える。


<COMPLEXITY 複雑さ> 短い間に風味や感覚を感じる状態で、複雑なものほどおいしいと感じられ、相性が良いという判断になる。


<HARMONYハーモニー> 複雑とはいっても一体感は必要であって、個性の違いすぎる組み合わせの場合は、一体感がなくなって、相性が良いとは言えない。もし個性が違うものを主食材と副食材として合わせる場合には、主食材と副食材両方に合うような「つなぎ」となるソースやたれ、調味料を使うとよい。


料理と飲物の相性については、以前、関西食文化研究会で講演した内容を御覧ください。



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