top of page
執筆者の写真川崎寛也

6. しつこくないこと

料理人の考えていること」の6つめは「しつこくないこと」であった。


日本料理ではしつこくないことは重要である。しつこくない、とは単に油脂が少 ないというだけではない。またなぜしつこくないことが重要なのだろうか。



我々が食品を摂取する根本的な理由として、栄養素を摂取する、ということがある。栄養素には、エネルギー源となる炭水化物、アミノ酸源となるタンパク質、脂質という三大栄養素とミネラルなどの微量栄養元素がある。動物はこれらの栄養素をバランスよく摂取する必要があるため、一つのものを摂取し続けると、摂食行動を止めるように進化した。


我々の味覚と嗅覚は、甘味やイチゴの香りなどの「質」、その濃度を示す「強度」、その感覚がいつ生じていつまで続くかという「時間」の3つの情報を脳に送っている。





同一の刺激が続くと、同じような栄養を摂取していると捉えて、その食品を拒否してしまう。このような状態は「感覚的飽き(Sensory Specific Satiety; SSS)」と表現されている。感覚的飽きを避けるには「ヘテロ感」が重要であると考えられる。ヘテロ感とは「不均一さ」であり、味や香り、触感において質や強度、時間を不均一に感じさせることで、体感させることができると考えられる。違いすぎることも問題で、ある程度の「一体感」が必要なこともある。ヘテロ感と一体感を意図を持ってデザインすることが重要である。



閲覧数:78回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page